「アーティストは境界線上で踊る」祭り-2-草間彌生−象徴の去勢の象徴


 これから23回にわたり、私の新刊の内容を少しずつ紹介して、多くの人々の購買意欲を促進しようと目論んでいます。

 本書の基本構成は「作家インタビュー」+「作家論」となっています。そこからの抜粋を紹介していきます。






 第一回は、本書の冒頭を飾る、草間彌生さんです。
 美術界での知名度も、市場での作品価格も、すでにとんでもないことになっていて、いまや押しも押されもしない、日本人アーティストの第一人者ですね。
 統合失調症の治療を受けながら、アウトサイダーとしてではなく、あくまでも表現者たらんとする執念には圧倒されます。
 恐るべき記憶力で語られる表現への執念と、ふとかいま見せる少女のような無邪気さの奇妙な混淆は、あらゆる人を魅了せずにはおかないでしょう。


 精神分析について

 向こうで精神科のドクターにかかったんです。そのドクターがサイコアナリシスをやったわけです。フロイト派だったから。だけど、ニューヨークで六年間サイコアナリシスをやって、もういいというときになったら、もう絵を描く理由がなくなっちゃったの。フロイト派は結局、私にとって敵だったのよ。私は自分の病を絵にやっていかなきゃいけないわけなの。サイコアナリシスをしてしまうと、全部発散しちゃって、絵を描く理由がなくなっちゃったの。治った時点で。
 (中略)そこに行くと、ジャスパー・ジョーンズとかラウシェンバーグとか、いっぱい来ているわけ。あの人たちも具合が悪くて。あの人たちがフロイト派をやったかどうか知らないけど(中略)カーレン・ホーナイって、知ってるでしょう。フロイト派左派の人で、ニューヨークではフロイト派なんて通用しないといって反旗を翻した人なんです。フロイト派は、ウィーンの上流階級の人たちの奥さんたちの悩みを聞くんだけど、ニューヨークみたいな激しいところでは通用しないわけですよ。


※ 本書には書かれなかったネタを一つだけ記しておきます。草間さんと私にはひとつだけ共通点があって、それは「コージーコーナー」好きなこと。草間さんの好みは聞きそびれたけれど、私はあそこのサヴァランが大好物で、にもかかわらず最近は置いてない店が多くて残念です。



草間彌生公式HP

映画『≒草間彌生-わたし大好き-』公式HP