美麗新世界

 24日から27日まで北京に出張します。
 2007「日中文化・スポーツ交流年」を記念して開催されるイベント
美麗新世界:当代日本視覚文化」に参加するためです。
 

<企画概要>
日中国交正常化35周年を記念して開催される「美麗新世界:当代日本視覚文化」展では、現代美術を中心に、メディアアート、建築、ファッションから漫画やアニメーションなどのポピュラーカルチャーまで、34名のクリエイターを紹介。中国で1990年代以降の日本の現代文化を網羅的に紹介する初めての機会となります。全体を「1. 美しきリアルワールド」、「2. ニューメディアワールド」、「3. 世界の終焉と未来世界」の3セクションに分け、「美しさ」や「新世界」という言葉から多層的に広がる表現を通して、現代社会を多角的に検証します。世界各地で複雑な社会的、政治的課題が挙げられる現代、「美しい世界」、「新しい世界」への問い掛けは、一国家や文化を越えた地球規模の議論であり、本展が人類共有のより良い未来をともに考えるひとつの機会になれば幸いです。(上記サイトより)

 私は公開プログラムのシンポジウム「日本の現代美術と社会を考える」に参加します。

日時: 2007年9月26日 水曜日 10時30分から13時
会場: 中央美術学院 (北京)
パネリスト: 吉見俊哉 (東京大学/社会学)、斎藤環精神科医)、蔡国強(美術家)他

 個人の内面を直接に接続するかのようなブログカルチャー、ないしいわゆる「Web2.0」といった潮流のもと、表現という領域においては「非社会性」こそが究極の「社会性」を獲得する、といった逆説的な事態がさらに前景化することになるだろう。
 最近、石田徹也という無名の画家の作品集が人気を集めている。三一歳で夭逝したこの画家の作品は、そのほとんどが「自画像」である。ただしそれは、自身の身体と飛行機や家電製品と一体化した奇妙な自画像であり、そこに漂う虚脱感や空虚感が多くの人々を魅了している。ここにもまた、「ひきこもり」的、ないし「おたく」的表現が受容される構図が示されているが、作家の「自画像」が、あたかも人々の「鏡像」のように機能する状況は、もはや特異なものとは言えない。
 おたく文化を背景に育まれた現代美術の表現者達が、自らの中にナルシシズムを超えた「他者性」を見出す術を発見しつつあること。そこから播種される「美」と「倫理」の新たな関係性が、果たしていかに発芽しいかに実を結ぶのか。(私の発表要旨より)


 入場無料だそうです。近くまでお越しの人はぜひ!