「関係する女 所有する男」講談社現代新書

関係する女 所有する男 (講談社現代新書)

関係する女 所有する男 (講談社現代新書)

 新刊出ました。基本的にジェンダー本です。
 ただでさえジェンダー本は誤解や反発を受けやすいうえ、生物主義的なジェンダー理解への徹底批判に抵抗を覚える方もいることでしょう。
 主張したいことはおおむね書き尽くしたつもりですし、後付けで著者が意図を説明するのは反則かもしれませんが、念のために書いておきます。
 この本では、ジェンダーの差異がもたらす一定のリアリティをひとまずは肯定した上で、そのリアリティがけっこう無根拠だったり曖昧だったりもするという事実を検証しようと試みました。
 だから生物主義の批判は必然的な手続きなんですね。男女格差本のパロディというスタイルにしても、「関係原理」や「所有原理」という「フェイクの二元論」も、差異を肯定しつつ無根拠化するというアクロバットのためのギミックとも言えます。
 最終的には、ジェンダー・センシティブという「過激な折衷性」への理解を広めたいと考えてはいるのですが、むしろどう誤読されるか−−著者の意図が「正解」であるとして−−に興味津々でもあります。